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2011年5月26日木曜日

思い込みの怖さ、PCBの例

ツイッターで呟くと予想もしない反応が来て面白い。
それによっていろいろなことも分かってきます。

今夜はNHKニュースの古い扇風機で発火事故続発の危険というはなし。
今年は電力不足とそれに対する節電意識の高まりから昨年同時期の7倍も扇風機が売れています。

さて、こうなると古い扇風機の廃棄が増えそうです。
もともと火を吹くような扇風機は数年前といったものではなく年季物です。

これらが捨てられると怖いのがPCBによる環境汚染。

それもツイートに入れてみました。

時々訳の分からないRTをされる方もいるのですが、今夜も久しぶりに見ました。
「昔って、40年前か?」

疑問というより揶揄のつもりなんでしょうね、多分。

いろんなひとがいて、個人の考えをいちいち気に欠けているとなにもできないので、変な人は変な人で放置するんですが、今夜のはかなり心配になりました。

これって相当の思い込みで、PCB問題など遠い過去のこと。
何もしてこなかったのに、終わっていると思い込んでいるんですね。

問題は二つ
ひとつは、危険性を過去のことと思い込んでいること。
放射能問題もこういう感じで風化して分かっている危険が、ある日突然襲いかかる危険へと将来変わってしまう原因になります。

もうひとつが、製品にPCBはもうないとの思い込み。
これは著しく怖いですね。

PCBが社会問題になったのは1968年のカネミ油症事件。
製造過程で冷却材に使われていたPCBがもれて 、製品である米油に混入してしまいそのまま流通。
食べた人にひどい障害が出てしまった。

※詳細よくわかりません
PCBそのものの害なのか、PCB製造過程で発生する微量のダイオキシンの影響なのか。
ベトナム戦争でアメリカ軍が大量投下した枯葉剤も、製造過程で微量発生したダイオキシンが被害の原因と言われています。

そして1972年ですから39年前に行政指導の形で製造と輸入の自粛を要請。
1975年に法制化され、日本国内でのPCBの製造とPCBの海外からの輸入が禁止されました。
原料の製造停止が36年前ですね。

80年代、つまり20数年前に保管されている大量のPCBの所在が分からなくなっていることが判明。
また、僅かな期間に怖さが忘れられたのか不法投棄が増え公害として社会問題化します。

国産でも20数年前の商品には使われていた可能性が残っているわけですね。
製造と輸入を差し止めたものの在庫の回収さえも行いませんでした。

そして扇風機は平気でもっと前のものが残っていたりします。

さらにややこしい問題が、扇風機のような簡単な製品は国内製造がほとんどされていないという事実。
世界的にPCBの製造をやめるとなったのはたった3年前の2008年です。

製造をやめても製品の在庫はありますから、まだ使われている国もあるでしょうね。

ここ数年は扇風機などの先進的でない家電の多くは海外製のメーカーもよくわからないようなものが小さな商社によって輸入され販売されています。
※日本の法律では、その場合の生産者は輸入事業者になります。

法律上の規制はおいておいて、実態として扇風機を解体して使用している絶縁オイルの分析をする可能性はほとんどありません。さすがにそこまでは手が回らない。
外見からわかる設計上の問題と書類、絶縁抵抗などが調査される程度。
それも全品検査するわけではもちろんありません。

国内での型式認定でさえ抜き取り検査です。

モーターも以前は国産が使われましたが、単純なモーターは海外製ばかり。
20年近く前でも、ワンルームマンションなどに据え付けられているひとり用の小型冷蔵庫などの冷却器はほとんど国内製造終了しシンガポールその他海外製品で、それを中国の工場で組み立てていました。いまでは、モーターや冷却器なども中国その他での直接製造に変わっているようです。

海外製品が悪いと言うつもりはありませんが、その国で規制されていなければ、工業的には廉価で扱いやすく安定していて、火災の原因にもなりにくいPCBはオイルとしては理想的な存在で使わないほうが不思議なくらいです。

一台あたりに使われる絶縁オイルの量は極微量です。
しかしそれでも環境汚染としては十分危険な量です。

そしてそれが使われなくなったのはいつかというと、40年前などではなく、まだ将来かもしれません。
すくなくとも廃棄が問題になると言っているような古い製品は使われている可能性があります。

PCBはカネミ油症問題が43年前に起きたのは事実。
恐ろしいほどの思い込みは、それですぐに使われなくなったという人。
そのように期待したいのは、人情としてわからなくはないですが、PCBそのものの製造と輸入が禁止になったのでさえそれからずいぶん経った35年前という事実を知らないのと、というよりしろうとしないことがこわい。
臭いものには蓋をし、怖い話は布団をかぶってやり過ごす。
それが出来る間はそれでもいいです。

でも、PCBはまだ解決していない現在進行中の40年も50年もそれ以上も前の問題。
同じような音大を現在まさにこの時、原発事故対策でつくりあげつつあります。

ひとは、忘れるという才能を持っています

機械仕掛けのように忘れられないと、おそらく生きていけない。
生きる上での大切な能力のひとつが、忘れる力。

3.11東日本大震災と原発事故の凄惨さも徐々に忘れていく。
それは生きて行く上で必要な能力。

辛さを忘れるのは必要なんですが危険性を忘れたり、まして対策の継続を放棄して無かった事、終わったことにしてしまうことはできません。

扇風機などモーターを使う家電製品にPCBが含まれていないと断言できるのが製造年月日で40年以内なら大丈夫ということは確実にありません。30年前でも無理だし20年前でも無理。
そして今購入できる扇風機の安い輸入品について、絶対PCBが含まれていないのかどうかは、分析にでも出さないとわからないでしょう。

仮に使われていてもとても化学的に安定な物質なので放射能のようにすぐ危険ということはなさそうです。
分解して油を直接触るのは避けるべきでしょう。

廃棄するときは自治体で安全性を確認して欲しいです。
不燃ごみとして処分場に積み上げただけとか土をかけただけでは、化学的に安定している分、自然分解なかなかせず、そのまま危険な化学物質として土壌汚染し、いずれ地下水を汚染したり雨水などで川や海に流れてしまうおそれがあります。
※そうなると海洋生物の中で生体濃縮が起こり、いずれ人の口に入ります。

余談ですが地デジ化を強引に進めたことで1千万台以上のブラウン管式テレビが一気にごみになる時代を迎えてしまいました。巨大な真空のガラス管ですから物理的にも危険ですが、ブラウン管には重金属が使われていて正しく処理しないと環境汚染が広がってしまいます。いままではというと、量が少なく、かなりの部分が再生用に海外の一部の国に輸出され再生されて使われていました。フィリピンなどでは、再生したテレビが壊れたあとの廃棄物が、問題化し始めているようです。


おなじくPCBの危険性をついでに述べておきますと節電のためのLED電球の推進があります。
とても良いことなのですが、蛍光灯を置き換えようとすると、20ワットタイプで廉価な製品がやっと1万円前後になったところ。オフィスなどで使われる40〜100Wのものは数万円します。

器具ごと交換してしまった方がおそらく経済的です。節電効果も無駄にトランスで昇圧しませんから交換するべきです。
しかし蛍光灯は100Vといった低い電圧では使えずトランスで高圧に変換しています。
こうしたトランスなどにPCBはもっともてきしている絶縁オイルだったので交換する業者さんは、廃棄するとき安全性を確認して欲しいし、そういう指示こそ国がして欲しいものです。(業者ではそこまで気がまわらないです)

パナソニックと東芝という照明器具ビック2なら製造時期でそこそこ特定できると期待していますが、すでに亡くなったメーカーもありますしそのまま廃棄できるかどうかのリストは国につくってほしい問題です。
PCBが使用された場合が使用部分だけ区分して専門の処理を依頼するのでしょうが、そういう仕組は確立していないようです。

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