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2011年5月7日土曜日

浜岡原子力発電所停止依頼の評価

菅直人総理大臣が権限外の浜岡原子力発電所操業停止依頼を行いました。
賛否両論が渦巻く中、評価をしてみると

■タイミング
・3.11に緊急停止命令発動

  • 状況が見えず困難でしたが妥当性が高い行動です。
  • 東日本大震災により未曽有の被害が発生し原発も制御不能状態
  • 巨大すぎる地震による大規模余震や誘発地震の懸念が極度に高まり平時とは比較にならないほど短期的に地震・津波発生の確率が急上昇していた
  • 他の原発で有事が発生した場合対処できる国力が残っていない
  • 以上を考えるとリスク排除が適切
  • 緊急事態宣言を発令しすべての方に優先して指揮することが可能だった

・3.13に緊急停止命令発動

  • 3.11からさらに事態が悪化
  • 余震の多さと巨大さが実証された
  • 原発が爆発した(水素爆発とは確定出来ていない)
  • 緊急度は更に増し、3.11に停止しなかったことが悔やまれる事態へ
  • 安全を確保するために遅まきながら停止命令発動

・3.15以降

  • 事態が徐々に明らかになるにつれ法律を超えた行動は徐々に困難になった
  • 余震の最も危険な第一段階は超えた
  • 海外からの支援が始まり自国の能力だけでの対応を超えた退所が可能になり始めた
  • 原発を停止する命令を出せる根拠が日々薄まっていった

タイミング的に見まして、2011/05/06原発停止依頼を行うのはあまりに時期を逸し、その根拠を法的に明白にする必要があります。実際には法的根拠がありませんので依頼という不思議な状態を作ってしまい受ける側も退所が困難になってしまいました。
約2ヶ月も時間を置いてしまった以上、臨時立法を行い法律に基づいて停止指導や停止命令を出すべき時期に来ていました。そうすることで、電力会社も法的問題を抱えることなく原発を停止することができ、コスト負担の明確かも行えました。
今となっては、補助金を出す根拠もなく、原発停止によるコスト増はすべてチュブ電力から電気を購入している企業や個人が電力料金の形で負担せざるを得なくなってしまいました。


■停止対象
なぜ浜岡だけ停止なのか理由が不明確です。
逆に言えば、なぜ他の原発は運転を続けても大丈夫なのかの根拠が不明確です。
地震が起きるかもしれないから止めるのであればすべての原発が同等に危険ですし、現実に止めるべきでしょう。
浜岡だけを停止対象にするのは単なる博打に過ぎません。
かけに勝てばいいですが裏目に出れば損失がいたずらに増大するだけです。
世論操作以外の目的があったのかどうか、判断基準を法律に即して明示する必要があります。
また、基準を変えたならばその新たな基準を公開し、他の原発が稼働を続けられる根拠として提示する必要があります。


■電力不足問題への対処をいたずらに難しくした
タイミングの項と同じですが、3.15までに停止していれば、その後の電力不足への対応を日本全体で考える中で、原発の停止を織り込むことができました。
実際には約二ヶ月の間その可能性を織り込むことをせずい東電管内だけの電力問題としてしまいました。結果として、多くの企業が生産場所を東電管内から中部電力や関西電力管内へとシフトする方法を選択しています。
唐突な原発の脱落による電力不足で中部電力は

  • 東京電力への支援100万キロワットの提供が困難になる
  • 節電に乗り出す必要に迫られる
  • 新規電力需要を受け入れる余地が無くなる(生産拠点の移動が不可能になる)
  • 3基合計出力362万キロワットの補填は今からでは間に合わない
  • 原子炉停止により自力での冷却ができず外部電源から莫大な電力を消費(発電所から消費地に転落)
  • 停止しても廃炉は未定
  • 廃炉してもしなくても3~10年以上そのままで冷却が必要で防波堤や予備電源工事は中止できない
  • 不足分を火力で補うには毎日数億円以上の燃料を消費する
  • 原発停止中も安全のため人員はほとんど減らせない
  • 東京電力不足への対策として東京圏から中部~関西圏へと生産地のシフトを進めてきた企業努力が水泡に帰する。そのコストは浪費となり、夏季の電力消費削減策が一部なくなり電力逼迫はより悪化する

3月に決定あるいか、仮決定を行い方の成立を待つ状態であれば各企業も含めて電力不足対策に原発脱落を織り込めたものを、ゴールデンウィークまで放置したため、それまでやってきた対策を無効化してしまい大混乱を招く。
電力料金のさらなるアップも経済へのダメージを大きくする。


個人的には全原子炉3.11即時停止が正しい選択であったろうと考えています。
緊急避難として実施するだけの十分合理的な状況にありましたし、電力についても日本全体で最悪からの回復を順序立てて計画実施するだけですみました。
停止による発電コスト増大や電力会社内での電力需要アップ(原子炉冷却用)、緊急に発電能力増大を図るためのコスト増など大きな経費が発生しますが、震災復旧費の中に組み込めたでしょう。

法律に基づかない停止に付いて、国が負担する合理的理由がなく、また電力会社にもそれを負担したり、そのために従業員の給料を削るなどの合理的理由にもならなくしてしまいました。


3.15の原発爆発事故直後での対処を逸してしまった以降では、あらたな立法措置を講じずに停止を総理個人が要請するのは逸脱行為に過ぎず、内閣が倒れた場合には保証責任の所在も有耶無耶になってしまうでしょう。


■これからのぞまれること

  • 停止の理由と根拠を数値化して明示する
  • 他の原発全てについて同じ基準で再評価をすみやかに行う
  • 並行して原発停止に関する立法化を図る
  • 再開できるのか不可能なのかの基準と手順を明確にする
  • 停止期間のコスト負担と廃炉の場合のコスト負担を明確にする
  • 地震・津波対策は早急に実施する

特に怖いのが停止を一部に求めたことで地震や津波対策がおざなりになることです。
福島原子力発電所では運転が緊急停止されたのに爆発(水素爆発)に3基もいたりました。
停止しても爆発することは実証されてしまいました。
また4号機は停止しているだけではなく、原子炉内に燃料がないにもかかわらず、非常に危険な状態に陥っています。原発の運転停止だけでは実は何の対策にもなっていないという事実が今回の大事故で明確になったのですが、浜岡原発停止要請ではあたかも停止すれば安全になるような印象を国民全体に与えています。
実際は自力発電能力を奪うことで短期的にはむしろ非常に危険な状態、ある意味福島第一原子力発電所とほぼ同じ状態にしてしまったことになります。つまり、短期的に見ると停止は運転より危険な状態です。最大の冷却装置を停止してしまったことになるからです。
そしてこの短期間というのは、半年から数年に相当します。
福島第一原子力発電所4号機を見れば半年程度では足りないこともわかります。

さて、3.15爆発でも停止させなかった以上、とって欲しかった措置とは

  • 停止の基準を明確にする(別に原発は廃止でもよく、基準が重要なだけです)
  • 基準に沿って停止日程を定める
  • 小型発電所を敷地内か近隣のより高所に作り冷却用電力の安定確保を図る
  • 経済的な手当をする
  • 長期的な処分計画を作り実施する
  • 膨大な費用に対する財源の確率と経済政策を明確にし実施する


やってしまったことは後戻りできないということはなく、要請は取り下げることもできます。
そのまま停止する場合でも、発電所を至急作る必要は大きいです。
防波堤の設置や耐震補強工事はいずれにしても早急に必要です。
経済的損失に対する政治的対応を明確にする必要があります。
東日本の電力不足対策を再検討しなくてはなりません。
中部地域での電力不足対策と関西~九州地区からの支援策を作る必要があります。

中部以西はおなじ60Hzですから援助は容易です。

ここまでしてしまった以上は、10電力会社体制を一気に廃止し、電力送電と発電を自治体に移譲するのが現実的かもしれません。そうした場合大消費地である東京や大阪が維持できなくなる恐れが強まりますが、遷都はじめ抜本的な対策を講じるか、法律で首都圏への一定量の供給を義務付ければ解決できるでしょう。


ところで、不十分でも停止したことそのものは、孫正義さんがされているように、すべてを置いておき、エールを贈るのも正しい行動かもしれません。すべてを否定だけしていては何事も前へ進みませんし解決しません。
ただ、いろいろな方策が考えられる中で、最悪に近い方法をまとも採用されたのは日本人にとっては残念なことです。







ああ 

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