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2011年3月25日金曜日

海水を福島第一原子力発電所で使うことの危険性とは

以前も書いたのですが海水で冷却することの危険性は2つです


  1. 硬度成分と塩が析出し冷やしにくくなる
  2. 塩素がステンレスに対してひび割れを発生させてしまう


1の危険性ですが、超熱いはじめのうちはあまり気にしなくても良さそうです。300度を超える温度ならばある程度は冷やせます。

ところで、水道水でさえボイラーなどで直接加熱していますと大量のスケール(炭酸カルシウムなど硬度成分の固まった小野)が析出し熱交換ができなくなり壊れます。
蒸気を作るボイラーでは、致命傷になるためイオン交換樹脂などを使い徹底的に硬度成分を取り除き、さらに定期清掃を行います。
水槽水は塩分がほとんどないのでまだスケールだけすみ、量もそれほどではありませんが、海水となると3%相当の塩を含んでいます。
1,000トンの海水を注入して蒸発すると食塩が30トンもできあがります。
発電機全体では100トン以上の塩が塊になっていてもおかしくない状態が想像されて恐ろしくなります。

2は中期的に大問題で、ステンレスなどの耐食性金属の多くが塩が水に溶けた状態で存在するハロゲン族のひとつ塩素を大変苦手としています。
結晶構造が破壊されひび割れが入ってしまいます。
補修もほぼできませんし、内部の放射能を含んだ水が漏れる放射能漏れの原因となります。

これは海水の濃度でも100度近いと致命的な影響をうけるのですが、海水が煮詰まった今の状況は相当危険な状態です。

米軍の支援で蒸留水に戻すというニュースもありますが、蓄積された塩の総量を計算すると、これ以上静かにお話が出来る状況ではないと、若干金属の物性や水道水や塩素を研究しているとこれ以上座視できないレッドカードを出すところまで来ています。

100トン以上の塩と大量のスケールをどう処理するのか大変興味があります。イオン交換樹脂で処理する量をはるかに超えていますから半透膜などで分離するべきですが、そこには溶けでた燃料=放射能も大量に含まれるので処分が難しくなります。


石棺にしたくなりますが、これも呪われたピラミッドを将来に託すだけで解決になりません。
チェルノブイリは30年もたたないのに、もう石棺の壁にひびが入り放射能漏れしているそうです。
コンクリートは熱に弱く内部の温度が上がると急激に劣化します。石棺にするにしても数十年以上の規模で内部を冷却する必要があり、高濃度で大量の塩は次の大きな技術的試練となります。

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