物事を伝えるのは難しい。専門的な内容ほどそれは感じること。
今朝記事を読んでいて深く感じたのがNHKがセキュリティー専門家に取材して行った報道への取材を受けた方の批判記事。別にNHKがダメとか言う内容ではなく、専門的な内容をわかりやすく伝えようとして事の本質を矮小化してしまい全く伝わらなくしてしまっているという話。
いま世間を賑わせ、IT関係者の心ある人に心配をさせているのは政府機関などに対するサイバー攻撃。
これを説明するのにBOTた個人のパソコンが乗っ取られ勝手に操作されることを放送したという。確かに間違ってはいないんだけど事の本質からあまりにも外れてしまう。
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これは3・11東日本大震災関連で発生してしまった原発事故に関しても感じていること。放射能の危険性をタバコの副流煙や自動車の交通事故と費用などで比較する愚かな自称経済学者(評論家)などがいて空恐ろしく感じた。これなどそっくりで、彼の場合は承知の上でアクセスを稼ぎたくてウソを主張しているだけで、まさか本当にNHKの子の取材者のように全く無知なわけはないと思いたい。
どういうことかというと、個別のPCが外部から操作されるとかバックドアの問題、あるいはそこから発生するかもしれない被害額を算出するのはタバコの副流煙の影響や自動車事故の発生リスクと毎年発生している事故の損害額を集計するのに似ている。問題が大きいのは高鹿だけれど本質的な問題が違いすぎる。例示されているのは個人レベルの危険であり単発的、副流煙なら半径数メートル程度の影響範囲のこと。自動車事故でも多くの事故は一対一で数名の危険にとどまっている。
それに対して政府などの期間に対するサイバーテロや原発事故による放射能流出は全く範囲と深刻度が異なる。どちらも一刻全体に一気に影響が及び、しかもその影響の深刻度は計り知れない。ガンに例える人もいるがいうならば説明に用いられているのはまだ癌化する前の発生時の異変で自然治癒してしまうもの。運悪くその一部は命を奪うこともあるが多くは自然治癒していく。
対して後者は末期で全身転移してしまった状態のようなもの。救える可能性も小さく致命的な状況に陥っている上、対処すべき対象が多すぎて各個撃破ではどうにもならない。
あるいは上限の問題に置き換えてもいいかもしれない。タバコで人は死ぬが一本のタバコですぐに病死させるほどの効力はない。十分危険を回避できるし事実法律の改正も徐々に行われ、評判の悪い民主党政権でも職場での副流煙問題を法律面から対策しようとしてる。
原発損壊による大量の放射能や政府機関などに対するサイバー攻撃はそうした局所的で対策可能な時間的猶予も与えてくれない。おきれば国家を破綻させたり計り知れない損害を与える。
映画にもなったことがあるけれど電力会社がサイバーテロで乗っ取られれば全国的な大規模停電に至るかもしれない。突然停電したらどれほどの交通事故が発生し、どれほどの人がエレベーターなどに閉じ込められることだろう。電話なども使えなくなるし水道だってガスだって電力が止まれば供給が止まってしまう。もちろんテレビだってラジオだってインターネットも全て止まり情報が一切流通しなく(できなく)なる。証券取引所が乗っ取られればある日突然企業の殆どが他国の所有に変わってしまうかもしれない。鉄道でも何十万人もの命が一瞬に奪われるかもしれない。航空管制室が乗っ取られれば9・11のようにハイジャックされなくとも高層ビルへと誘導されて激突してしまうかもしれない。
わかりやすく伝えるのは大切だが、危険や事象を矮小化してしまうのは危険にすぎる。危機感をいたずらに煽るのは正しい行為ではないが矮小化は機器を聞きと理解するチャンスを奪い対処できるチャンスを奪ってしまう結果につながりかねない。
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