2011年7月9日土曜日

NHK今朝の発電討論を見て思う狭すぎる発想の弊害

観る気はなかったのに朝からNHKを見てしまいました。
自然エネルギー導入で家庭の支払いが2,000円以上毎月上がるという一方的な話を持ち出す、おそらくは御用学者の人。かたや、すでに毎月の費用が500円も値上がりしているんだという、火力発電の値上がりリスクを語る反原発派の学者。

たかだか二人しか登場しない専門家も全く議論がかみ合わない、というより議論する気がないのだろう。持論を展開するだけ。
せめて基本部分のコンセンサスを求め、差異を明確にすればいいのに、それさえ番組側も行わないので議論が全く発散してしまって終わった。

見ていて一番気になるのが両極端な二人の学者がともに送電線が必要だと言い続けていること。

自然エネルギーの利用は、相手が自然なだけにとても不安定で変動が激しい。
それに対応するにはバッテリが必要だという話も同じ。

ともに、『電気』は『電気のまま電線で送り電気のまま保存する』と決めて掛かっている。
いかにもその道の専門家らしい議論で実に狭い視野での議論になっていてそこにこそ問題がある。

電気はエネルギーの一形態でしかない。
別に電気の形のままである必要はなく二次電池(充電池)を使うのも電気エネルギーを化学エネルギーに置き換えているだけ。
その置き換えが大電力には適さないのは自明なのに何故かそこを無視してる。
送電線が必要だという騒ぎも、電力のまま扱おうとするからだし電池に貯めようとするからどうしようもなく電線で電気を移動させるという非効率なことをしなくてはならなくなる。銅はとても高い金属だし重く配線には鉄塔が何基も必要になってひたすらコストがかかるし送電中の電力ロスも果てしなく大きい。周波数の問題含めて、電力のまま扱う限りドラスティックな解決策は出ず何十年も解消しない問題が一気に解決するわけがない。


問題を上げるだけでは愚かしいので解決策を一つ。
過去にも書いたことですが、電気のまま扱うから送電ロスが大きく、発電所と消費地を結ぶのも大変だし発電の変動を吸収するという面倒な問題が起きてしまう。

すべてを解消する方法は幾つか考えられるけれど、既存技術がそのまま使えて開発が不要で日本が得意な分野で上げるならば、電力を水の電気分解に使い、発生する水素をエネルギー源とすればいい。

発電所で随意発生電力をそのまま電気分解に使う。
この場合、発生する電力の変動は何の問題にもならない。
ただ発生する水素の量が変動するだけ。

発生した水素はタンクに貯蔵しパイプで送れば良い。
これは日本全国くまなく都市ガスという形で実用化されているしプラント建設は今もなお、日本は得意とする分野。
そしてパイプに使われる材料は銅よりずっと安く大量に存在し種類も多い。

飛び地にはタンクローリーなどで運んでもいい。

消費地では、燃料電池をさらに開発進めてもいいし、とりあえず火力発電の燃料にしてもいい。
LNGに混合して供給すればほとんど設備の変更は要らない。
そして消費地に発電機を設置すれば、送電ロスを最小限に抑え、そもそも関東関西間で電力を融通するといった壮大なムダを擦る必要もなくなる。

風力発電はダメだと御用学者はできない理由だけを述べるが、洋上でも離島でもいいから超大規模な風力発電機を設置して海水を電気分解して水素を貯蔵すれば良い。できた水素はLNGタンカーなどで輸送すれば良い。別に海底に電力ケーブルを這わせる必要はない。

太陽光発電でも同じだし地熱でも波力でも同じ。

電気のママとか充電と電気屋さんの範疇にこだわるというより抜け出せないから解消しない問題が山積しているだけ。


極論すればスマートグリッドもいらない、というより無い方がいいと考えている。
無駄と無理が大きすぎるから。

発電してしまった電気を何とかしようという発想に無理がそもそもある。
水素をそのまま都市ガスのラインで供給して消費地(家庭など)で燃料電池やガスタービン発電機にて発電すれば、消費量に応じて発電すれば良くなり小難しい調整を図る必要がなくなる。そもそも発電・送電分離も不要で送電自体が消滅する。
街灯や信号などはその近くの住居やビルから電力を購入すれば良い。

発電そのものをマイクロセル化してしまうことで、多くのことが解消できる。
そして自然エネルギーを電気のまま扱おうとするから家庭で発生した余剰電力を買えという無理難題を電力会社に押し付けることになり反対が大きくなるのであって水素に変えて余った分は逆送してその分ガス会社にお代をいただけば良い。電力と違って消えてなくならないから配管にガスを送り込んでもらえば有効に利用でき無駄は出ないし配管中の圧力はすみやかに全体に拡散するから電力のような難しい問題も起きにくい。ガス会社の対応も、そもそも減圧弁通してガスを創出しているだけだから配管の圧力が高まれば自動的に供給量が減るだけで電気と違って新たな調整機構など不要。

ところで別に水素をそのまま使わなくても別の形態に変えてもいい。
それがアルコールでも別の化学物質でもいい。
ただ既存の設備をそのまま使いロスが少ないのは多分、電気分解で発生する水素。

電気分解で同時に発生する酸素は大気中に放出すればよいでしょう。
大量すぎる場合は液化するなどして別途利用してもいいでしょう。

この方法、原発のようにあまりにも発電量が小さいところで大きすぎるとちょっと難しい。理由は発生する水素の量が膨大になりすぎるから。むしろ自然エネルギーのように密度の低いエネルギー源のほうが向いている。

水も海水も無いような砂漠の大陸では導入困難な方法ですが日本は海に囲まれているので、とても採用しやすい方法で、廃棄物も殆ど出ずはじめから最後までクリーンです。

※廃棄物
電気分解する前処理におそらくは水を逆浸透膜などで濾過する工程が入るでしょう。そこで水中の不純物が濃縮されることになり、その処分が問題になるかもしれません。
海水を使いそのまま海に戻すという方法もありますし、物質を分離してそれぞれ利用方法を開発することもあり得るでしょう。

将来的なメリットとして海水にはあらゆる物質が微量ながら溶け込んでいます。電気分解するとそれらの大半はそのまま残ることになるので、巨大な鉱床を手に入れる事にもなります。資源を取り出すために海水から抽出するのではコスト的に引き合いませんが、副次的に取れてしまう資源を集めて使うのであればコストは事実上ゼロとみなしてもよいのでレアアース始め金なども量はそれほどでもないでしょうが、トータルするとかなりの金属などが取り出せます。鉱床での採掘は公害の発生や人身事故の問題がつきまといますが、この方法の利点はそういう事から開放されること。

山間部では無理に海水を運ぶのではなく周囲の水を使えばよいしなければ麓まで電線を引けばよく弾力的にその地に応じた方法を採用することができます。



0 件のコメント:

コメントを投稿