2011年5月24日火曜日

ひとはなぜ、あえておろかになれるのだろう

そこそこ著名な評論家(本人は経済学者のつもりかも)のかたが、ことあるごとに孫正義さんに突っかかっている。
別にそういう人がいるのは、社会の健全性のためにはいいとはおもう。
誰もが素直に評価だけしていてはいけないし、クレーマーの存在はむしろ闘争心をかきたてることもある。

それでも、自分を貶めるようなことまで言い出してしまっていいのだろうかと、むしろ心配になってきました。

「火力より安い」再生可能エネルギーに補助金を要求する孫さんの話は、「絶対安全」の原発に迷惑料を払う電力会社と同じだ。こういうみえすいた建て前論をしいて問い詰めないのが「大人の議論」かもしれないが・・・

ミスリードしたい気持ちは理解できなくもない。
でもここまで行くと気の毒になってきてしまった。

2011/05/24の時点で原発より再生可能エネルギー安いという主張は誰もしていない。
むしろドイツ政府の例を上げ1キロワットあたり64円もの高額に買取価格を引き上げたことでようやく再生可能エネルギーが促進された。ドイツほどの先進国であっても、それまではうまくいかなかったという事実も挙げている。

なによりも、この瞬間のコストは再生可能エネルギーが高いのだとグラフを使って説明している。
安くなるのはこの先、原子力も火力も燃料費の高騰やCO2対策、公害対策、安全対策にコストが大幅に上昇してしまう。
対して、再生可能エネルギーはイニシャルコストは高いもののランニングコストは燃料不要なため極めて安い。だからコストは将来逆転するというおはなし。

これほど簡単なことは分かりきっていて、あえて屁理屈を捏ねている姿は江戸時代の役人のようだ。

そしてなぜ補助金が必要なのかはおそらく一番理解しているはず。
人は誰しも割高なうちは手を出さない。
儲かるようになってから算入する。
そうなると設備が当面売れないから高止まりするしか無い。
しかも買い手がいないから開発に投資する人も出ない。
まさにいまの現状そのもの。

補助金を出し、かつ、利益が出るようになっても補助金が出続けるならば、いち早く算入するほど経済的メリットが大きくなるので、発電に新規参入しやすくなる。
だからドイツでも一気に再生可能エネルギーが増大している。

そんな簡単すぎることは指摘するまでもないのだけれど、さすがにここまでくると気の毒てみていられない。3.11直後、あれだけ立派な発言を繰り広げていたのに、自分の権益に固執するあまり、あまりにもおかしな誰でもすぐに分かるような暴論をはき始めてしまわられた。

原発事故はまだまだ収束などしておらず、いつふたたび大量の放射能を放出することになるか予断を許さない。堀江貴文さんは収監されてしまうし、まっとうなことをいう人に生き残って欲しいなか、なぜ墓穴を掘られるのだろう。

また、原発だけではなく孫正義さんに議論としての正しいかどうかは置いておいて、どうどうと縦付ける人はそうそういない。そういう点でも間違ったままでも構わない、反対論を言える人間の存在は、やはり貴重。



坊主憎ければ袈裟まで憎い
とは、さすが昔の方はうまいことを言ったもの。
それもわかるけれど、業績を台無しにしかねないところまで論理が破綻されてきているのを見るのは忍びない。ご自愛いただけないものだろうか。



ところで、個人的にソフトバンクは好き嫌いで言うとものすごく嫌い。
好惡でいうと、この方以上に反論をあれこれ出したくなるけれど、そういう時期ではない。

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