2011年5月4日水曜日

東京電力と東京都の不自然な関係

かねてから気になっていることの一つが東電と東京都の関係。
東京電力の大株主、その第5位が東京都になっている。
自治体が株主になることの是非は別の機会に譲るとして、第5位の株主というのは株式会社にとってはとても大きな存在です。特に東電は個人株主が多いので大量株式保持する株主は規模の割に少ない。それだけ大株主の発言力は大きく議決権の影響力も計り知れない。

株主は政府と異なり、その会社のあらゆる資料を見る権利を持っている。
なにせオーナーなんだから当たり前の権利。
会社の方針に対しても意義を申し立てられるし、それ以前に否決することでやりたいということをさせないことも簡単にできる。それどころか人事権は実際には株主こそが持っていて、役員に誰を任命するかはひとえに株主にかかっている。

株主責任というと、評論家の先生でも株式が紙切れになるということだと思い込んでいる御仁が多くて呆れてしまうのですが、実際にはその会社の運営にだって責任があります。社長が悪いんです、といったって、その社長を任命するのは株主総会だからです。

電発のような重大な存在、実際には福島県の方が感じていらっしゃる以上に東京都そのものの責任は重いのではないか。
消防車を出して助けてやったと上から目線で語るけれど、本当の問題は大株主である東京都と政府にあって、コロコロ変わる政府と違い東京都知事はちょっと調べるとわかるのですが実に安定していて常に長期政権です。
ある意味最も東電を指導できる立場に居続けた。

犯人探ししても起きてしまった事故はどうしようもないのですが、かといってその原因がどこにありどこをただすべきかを明確にしないと何度でも悲劇は繰り返されてしまう。
今回の事故はたまたま全く制御方法を失っても運が良くて収まってくれていますが、少し違えば大爆発を起こしていても不思議がありません。炉心が溶融し原子炉の底に穴が開いて高温になった燃料に水が直接触れれば一気に水蒸気爆発を起こしチェルノブイリを超えていたでしょう。一基そうなれば、他の原子炉を冷却したくても放射能が強すぎて住民堆肥を呼びかけるのが精一杯で、次々と残りの炉も爆発していくことになったでしょう。

関連リンク:
東電株主構成

これはまた他の道府県にも言えることでしょう。
株式を所有しているかどうかで権利も義務も変わり、また影響力を及ぼしたければ効果のないパフォーマンスするよりも資産運用を地元の電力会社の株式を買えばすみます。
株式を買っても安定した株ですから預貯金よりむしろ安全ですし利回りも割と良い。
株価も買われるほど上がるから株主にも迷惑にならない。
一定株数所有して株主の権利を行使すれば良い。
最短、次の株主総会には全役員入れ替えもできますし原発停止でもなんでもできる。

また、株主構成を見ればわかりますがその他の大株主は保険中心に金融関係です。
お金の運用先としてとても安定していますから当然のことです。
都道府県や金融機関がその気になれば法律も訴訟も何も不要で役員を入れ替えて企業の方針をどのようにでも変えることができ、住民はそれをいつでも要望することができる。
デモなんかするよりスマートで合法的で効率的です。

原発にしても再生可能エネルギーを採用するかどうかにしても、一部評論家が口先で言うだけの送電と発電の分離だって法律の改正さえ不要で株主が求めればいいだけのこと。会社を分割すればいいだけのことで実に簡単です。

なんでやらないのか。
それ以上に、なんでこんなにも簡単なのに評論家でも政治家でも言わないんだろう。








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