2011年4月5日火曜日

家庭用ソーラー発電の課題 #fuko_idea

3・11東日本暖震災からはじまった福島第一原子力発電所大事故で一躍期待が高まっているものの一つが家庭用ソーラー発電です。
東京都副知事の猪瀬さんは積極的に魅力をツイートし続けています。

さて、良い面(自分に都合の良い面)ばかり見たがるのは人間の性。
循環型でクリーンでCO2を出さず・・・
そういう部分だけを取り出すと原発やもんじゅを代表とする高速増殖炉も同じようなことを主張していました。
安全性でというか危険性で言えば、かなりソーラーパネルのほうが危険でしょう、まあ、この辺は池田信夫さんが原子力発電所と自動車の安全性を比較して大誤解を生んでいるのと同じで比較しないほうがいいのですが、個人宅はそれでなくとも欠陥住宅問題があとを絶ちません。その住宅の屋根の上に言うなれば置くだけで済んでしまうソーラーパネルは手を抜き放題。

地震が来れば落下してもふしぎではないし、台風が来れば飛んでいってもおかしくなく、安全を原子炉レベルにさえ確保することはまず無理でしょう。

民家に設置するだけに、もしも普及したら地震や台風で大被害を与えるかもしれません。
まあ、そこは規制や検査でなんとかなることにしましょう。何とかなっていれば欠陥住宅問題がこんなに深刻にはならないはずですがとりあえず先に進みたいので、安全性が担保できないものを使うなという原発への反対と同じ理由で反対ということも残しておきます。

一番の問題は、いまの家庭用ソーラー発電が導入しようというひとの意欲や公共性と反していることです。
ソーラー発電は太陽光で発電するので日光がさんさんと当たっていないと発電できません。夜間は無理ですし、日本には梅雨という雨季がありますし、冬場あまり陽がささない地域もおおいです。
秋にも秋の長雨があります。

発電できなかったり発電効率が下がるとき、いまのソーラー発電では東京電力など電力会社が不足分の電力を面倒みることになっています。
ソーラー発電が少ないうちはちょっと面倒なだけでecoの必要性を訴えかけられる有用な存在ですが、台数が増えてくると普段は消費されない電力を一時だけ供給するために危険でCO2の発生も多い火力発電所を多く作ることになります。しかもその火力発電所の稼働率は極度に下がります。

さらにソーラー発電は売電が可能で電力会社は買い取ることも義務付けられていますので、ソーラー発電が快調なときと発電できない時とのギャップがとても大きくなり、対応が難しくなります。

いまのままのあえて言えばわがままな仕様になってしまっているソーラー発電がそのまま普及してしまうと発電システム全体を考えたとき今よりかなり悪い状態、火力発電所はやはり増設が必要で、しかしあまり稼働せず、さりとて梅雨や曇天が続く日は全力運転しなくてはならないという電力の安定供給かなり困難な状態になります。また電力会社の発電コストもかなり上がりそれでなくとも割高な電気代がさらに高騰してしまいそうです。

梅雨がなくなることはまずないので、日本で本格的な家庭用ソーラー発電システムを普及させるのは社会全体で見るとあまり得策とは言い難いです。

発電効率の向上や充電池の改良などやれることはいろいろありますが太陽光だけがエネルギー源である限り、日本の家庭に向いているとは言いにくいシステムです。

また、あまり問題化していませんが現在のソーラー発電システムは、影ができるとかなりまずい仕組みのものが多いという問題もあります。ソーラーパネル一枚あたりの起電力が小さいため直列接続になっています。すべてのパネルに同じように太陽があてられる工業規模であればあまり不安はないのですが家庭ですと、例えば隣が改築したりビルが出来ると影ができがちです。

パネルの一部だけ光が当たらないと、そこは発電できないため直列回路上で抵抗体になってしまいます。その結果発電効率がかなり下がるとともに抵抗ですから発熱してしまいます。
火災の原因になったということは聞きませんが設置台数が増えればその可能性も増すでしょう。
防止するにはコントローラーの高性能化とパネルの細分化と配線の改良が必要でコストアップ要因です。すでに設置されている方は設計仕様通り発電できているか確認されることをオススメします。発電量が不足している場合影が出来ていて上記問題が起きている可能性があります。


ソーラー発電システムを家庭でも本格的に使うには都市計画から行う必要性が出てくるでしょう。ソーラーパネル発電総量をと消費電力を計算し、買わなければならない最大電力と、供給しなければならない最大電力を算出し電力会社の発電力と比較し、設備の稼働率から負担金額を決める。発電設備を増設する。

循環エネルギーではありませんが、日本の自然環境を考えますと、コジェネレーションシステムが向いていて、家庭で導入する場合もソーラーパネルのように一軒ごとではなく、町内会など一定の区画単位での導入が現実的です。

コジェネレーションシステムにソーラー発電は組み入れられるべきだと思いますが、その場合直接の発電より、太陽熱温水器のように熱エネルギーとして利用するほうがシステムに組み込みやすいでしょう。なぜならコジェネレーションシステムでは高温から徐々に低温まで広範囲な温度帯を発電や冷暖房、給湯に活用し燃料のエネルギー効率の最大化をはかっているので、太陽熱もそこに組み入れやすいからです。ガスタービンエンジンなどであれば、太陽パネルでの発電の補助も可能ですが、充電池や充電池からの交流電源への変換などエネルギーロスが多く、またレアメタルなど資源を大量に消費すること、数年でダメになる充電池の廃棄問題などあまりecoでない部分も増えてしまうので太陽光=発電よりも太陽光=熱というほうが日本向きではないでしょうか。

また、危険性の話に戻りますがソーラーパネルや風力発電ではどうしても発電が不安定なため、バッテリーが不可欠です。そしてバッテリーの多くはとても危険な物質を大量に含んでいます。
それ自体危険物ですし火災などになれば二次災害も恐ろしく、原発のように自然災害や自動車が突っ込んでくることがないと決めても、数年で寿命が来て廃棄の問題が大きく立ちはだかってきます。

原発には安全性とか危険性以前に、発生する大量の放射性物質を利用している世代が生きている間やその子供も世代程度では、まったくおわらず、おそらく地球が太陽に飲み込まれて消滅するおよそ50億年後まで延々と管理し続けなければならないという、根本的に無理な問題を生み出すからです。ソーラー発電や風力発電も充電池が必要な間は、やはり賛同しにくい技術ですし、設置工事での一般的な安全性を確保しづらいソーラーパネルというモノが使われる間も、やはり賛成しにくいです。


壁紙のように薄く柔軟になり、屋根や壁にぺたぺたと貼っていけばすむようにまで進化すると考えているのですが、本格的に使われてもいいのはそれくらいになってからでしょう。今のソーラーパネルではかさばりすぎて寿命が来始めたとき、廃棄物の処理が問題化しそうです。
初めから再利用や再生利用を前提に設計されていればよいのですが、現在の商品はとりあえず太陽光で発電できるという段階で、まだまだ一般に仕える商品というレベルにまでしあがるのにはかなりの技術革新がいくつも必要な段階です。

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