2011年3月25日金曜日

実現可能な電力不足対応策とは #teiden

東日本大震災で東日本ではかつてない電力不足です。さまざまな対応策が言われますが殆どは実現不可能かほとんど意味のないものです。実現できる方法を提示しつつできない理由を簡単にまとめます。

■唯一実現可能な現実的対策
・電力会社の管轄地域再編成をおこなう。


具体的には糸魚川を境とする東西の分割境界線を多摩川に移す。

効果:大電力消費地である神奈川県と工場地帯である静岡県の電力を中部電力筆頭に関西の電力で賄える。不足分に匹敵する電力消費を東日本で削減可能。かつ停電という致命的なことをせず日本全体での日中の節電で対応可能になる。

マイナス:東京電力のみ将来にわたり売上が減少する

実現までの所要日数:数日で開始可能で、完了まで数週間以内

課題:電力料金の課金
どうしても東電がこだわるなら検針をおこなう。
これだけの事態を引き起こしているので両者にまたがる部分は新所管電力会社に譲るのが妥当でしょう。
中部電力からの供給用電線を新たに引く必要も出ますが、多くは架設済みの東京電力の電線がそのまま使えます。

中期的には、変電所・受電設備・送電設備の再編成が必要
緊急性のある当面の期間は仮設の送電線でまかなうなど日本は運のよいことに電柱を使う屋外架線方式なので超高圧な主送電部分以外は配線工事に問題ない。
いまでも100万キロワットアワーの送電を行うための施設が存在するため、その架線用鉄塔を使用することで当面の需要には対応する。(不足する電線を増設する)


■現状の再認識
東日本大震災で福島第一原子力発電所と福島県内の大規模火力発電所が壊滅し約1,000万キロワットアワーの発電能力が失われた。
一日の中で電力需要は大きく変動している。
供給力不足は、日中工場やオフィスでの電力消費が増える時間帯と夕方から夜の過程での電力消費が増える時間帯が供給力が需要に追いつかなくなっています。
消費が多い時間帯が問題で消費が少ない時間帯は問題ありません。

火力発電所も原子力発電所も24時間一定範囲内の発電を続けるのが効率的で停止や一定以下の発電量まで落とすのは大変発電効率が落ち燃料を浪費します。


■使えないアイディア
・サマータイム導入
9時を8時と思えというだけで時計の見方が変わるだけです。
電力消費のタイミングが変わるだけで、何ら効果はありません。

・時間帯別料金導入
すぐには実現不可能で数年単位の時間が必要な可能性が高く間に合いません。
よくある間違いは、深夜電力・第二深夜電力があるからというものですが、見当違いです。
日中の電気メーターとは別に深夜電力用のメーターを付け対応しています。
今の方法をそのままつかうならば、電気メーターを各家庭に複数設置しなくてはなりません。
さらに、深夜電力では使用する機器が認可制で、どの機器を使うかを申請しその機器だけを接続して使います。第二深夜電力も同じです。
深夜電力、第二深夜電力対応機器は電力会社が定めた時間帯しか使えないようにタイマーを内蔵しています。このタイマーにより、該当時間だけしか電気は使えないという前提で第二深夜電力は提供されていて何時に電気を使ったかを知る方法や、それに合わせて電力料金を課金する仕組みが存在しません。

検針業務が人件費を食うことからリモートコントロールに変えようという動きもあります。
そのような電力消費を通信により電力会社に通知する仕組みのメーターであればアプリ開発により対応可能ですが、「みずほ銀行」が度々障害を起こしているように大規模システムでは開発も運用も難しく短時間での運用開始は期待できません。

以上の問題を別にしても、効果が出るまでの時間の問題が大きいという問題があります。
人間はニュースで時間帯別料金導入と言われてもぴんと来ません。
請求書が来て初めて驚き、二度目で納得し三度目で対応策を考え始めるのが一般的な流れです。電気料金の時間帯別料金体系では、いまの輪番停電以上に消費者に分かりにくく、効果が出るまでに数カ月を必要とします。


・大口需要家への制限
一般個人は守り企業を犠牲にすれば良いという短絡的な意見はでやすく、納得しやすいのですが、それで解雇されても生活できるでしょうか、操業できなくなれば人員整理するか会社清算となり、失業者の山が築かれてしまいます。
個別の失業は無視したとしても、経済活動が停滞し経済的な日本沈没を引き起こしてしまいます。それを受け入れるとしても、被災地救援さえ物資の生産もできず行えなくなります。
なぜなら直接生産している工場だけ電気を回すといった提案でごまかしがちですが、実際には一社で何もかもまかなえる工場はめったになく、日本中の生産設備が何らかの形で相互に補完しあっています。たとえば、水道汚染の問題がありペットボトルの増産を政府が依頼していますが、ミネラルウォーター生産工場は水を詰めるだけで、ペットボトルを購入し、別の会社からキャップを買い別の会社からラベルのフィルムを買い別の会社からインクを買い別の会社からダンボール箱を買い、ボトルに詰める機械のメンテナンスも必要なら清掃用の洗剤や清掃道具、消毒薬がなくては営業続けられませんしマスクなど衛生設備も様々必要です。それらを作る工場でも、同様に色々なものが必要でどこか数カ所に選択的に電気を供給しても在庫分作ればそれで終わってしまうのです。
つまり、日本中の工場や会社がきちんと活動できるようにしなくては避難者救護だけとっても実現できず、大口需要家への制限をするということは、被災者を間接的に見捨てることにもつながってしまうのです。困ったことに、直接の生産者も裾野がどこまで広がっているかはわかりませんから、ペットボトル業者にどこに電気を供給すればペットボトルの生産が続けられるかなどは答えることができません。
同様に日々の生活に置いても、あれがなくなる、これもなくなると停電以上に影響が出てきます。

鉄道は対象からハズといったように個別対応していくと、上記の説明の世に数日はそれで動いても、関連物資やサービスが止まっていることで提供継続できなくなってしまいます。できなくなってから必要性に気づいても電力を供給再開し、生産してもらい輸送してもらってからと何日も間があいてしまいその間鉄道が完全停止するかもしれません。
様々な場面で連鎖的にそうした問題が起き、すべてが止まってしまいます。

例えば自衛隊が大活躍してくれていますがガソリンの不足は言われますが、ウィンドウォッシャー液がなくなれば、即座に雪のふる地域での活動できなくなります。エンジンオイルの生産が止まれば数カ月後には全車両が活動できなくなります。タイヤが作られなければ自動車は動かなくなります。普段気づかない消耗品がたくさんあり、我慢では済まない必需品でありながら目立たないものがや大量に存在します。

紙とインクが不足し新聞のページ数を減らして欲しいという目立たないニュースがありました。インクがないと一切の食料品も生理用品もなにもかも生産できません。無印でいいと言っても日本では表示がないと生産も流通も禁じられているのです。アジア各国からの支援物資の多くを日本語表示がないという理由だけで政府は拒絶しているのです(拒否は続いています)。

・基本料金の値上げ
消費電力の上限ごとに基本料金は設定されていて、消費電力が多いほど電気代は高くなります。その設定を劇的に値上げしたら解決するという提案です。
うまくいけば、契約者ごとに使える電気の絶対量が減るのでピーク電力を減らすというやるべき事に一番適した提案です。
しかし、これには準備期間が必要で数ヶ月から数年かかります。
なぜならブレーカーと言われる装置で電力の上限を決めているのですが、これを交換公示しなくては実現できないからです。
工事には国家資格が必要で、一日で対応できる件数はとても限定できです。
しかも肝心の交換すべきブレーカーは需要予測に基づいて生産されていますが、新規需要は家の新築件数でほぼ決まってしまいますから不景気の今、あまり生産されていません。急に増産求められても部品や資材が不足していますし生産設備も足りません。

また時間帯別料金導入と同じで即効性に疑問が残ります。
どちらの場合も直ぐに反応する人と数ヶ月料金明細見てから反応する人に分かれますが、すぐに反応する人の多くは、情報感度のよい人なので高確率で省エネにとうに協力していて、痛みが増えるだけで実効の方はあまり増えないという協力的な人ほど苦痛を感じる政策になってしまう危険性が高いものです。


■次善の策

本質的な対応策は、50/60Hz帯の境界線を糸魚川から多摩川に移す。
糸魚川都多摩川で挟まれた地域の電力消費を関西の電力会社がまかない、発電している電力はそのまま東京電力に送電続ける。日本全土で節電に取り組むというのが現実にできる抜本対策であり、しかも実施するまでに時間のかからない方法です。

遅くとも夏という電力需要が年間でピークに達するまでには完了できるでしょう。
またほとんどの作業はすぐに実施可能です。
課金も、当面は従来通り東電が請求しそのまま中部電力などに振替を行うなどシステム面での対応はあとからでも十分間に合い、できない理由は東京電力のお家の事情に限定されるでしょう。

強制的該当地域は50Hzが60Hzに変わりますので、一部使えなくなる電気製品があるかもしれません。停電で全て使えないよりは影響が小さく、周波数改修も可能で大口需要家で難しい場合は、そこだけ従来通り東電から給電すればよいのでできない理由からははずすことができます。

・大企業の業務時間帯変更
大企業に限定して始業と終業時刻を2~3時間前倒ししてもらいます。
これにより電力消費のピークをやや平準化することができます。
結果は不明ですが大企業に限定することで大企業と関連企業及びその従業員だけが生活時間帯が移動することで電力需要の山が多少低くなります。
対企業に限定するのは、中小零細企業や個人事業主をコントロールするのは事実上無理があるが、大企業であれば政府や自治体で協力依頼ができ、かつ、実施状況を容易に確認できることと順守が期待できること、そしてなによりも一部の強力で半数近くの電力消費に影響を与えられるからです。

前後どちらにずらしても良さそうですが、遅くずらすと家庭での電力消費ピーク時に大企業も営業していることになりむしろピーク消費電力を増やす結果になります。
朝が早まる分には影響は小さく、鉄道会社などの始発を早めるなどの協力で社会的芋対応可能ですし、朝方のほうが健康にも良く(!?)鉄道会社の収益減少を最小に抑え、かつ通勤ラッシュも軽減できるなど魅力の大きい方法です。
実害ですが、大企業の取引のほとんどは大企業間にておこなわれていますので、あまりありません。中小零細企業でも取引が多ければ営業時間をシフトすることで対応できます。


・深夜労働制の導入

労働基準法などの改訂が必要で企業努力では実現困難です。
給与始め労働条件の緩和と就業時間帯変更を法律で支援しないと一部のひとのために、やりてくてもできないという結果に終わります。

一部企業の営業時間帯を深夜を中心としたものに入れ替えてもらいます。
企業にも従業員にも周辺住民にも負担が重く、効果はあっても先進国で採用するような方法とはいいにくいものです。

二部、三部シフト制ではなく営業時間を12時間入れ替える方法です。
これも鉄道などの支援が必要なことと、生活時間の入替は健康上問題があり得るのであまり良いアントは考えにくいです。

輪番制停電のように、昼と夜を入れ替えるという方法もありますが、いずれにしても、通常営業している会社との取引が難しくなる、家族が会えなくなるなど問題が多すぎ最後の手段でしょう。






自宅でできる節電のはじめは消費電力を知ることから。
ワットチェッカー




モーターなど15A以上でも計測できる、ケーブルなど外さずそのまま計測できるので現場では一番使われるのがクランプメーターです。ケーブルに対し直角に構えケーブルは真ん中に来るようにして計測するのが正確に測るコツです。

1 件のコメント:

  1. アイデアは良いと思います、
    ただし変電所や電柱上のトランスはそれぞれの周波数で
    最大高率となるように作られているので、周波数が変わると
    ロスが大きくなると聞いたことがある。
    また ブレーカ容量を下げましたが、交換は簡単で、15分で済みました、ブレーカー自体も外したものを流用するので
    小容量のものを少し増産すれば済むようです。 
    とりあえず 各家庭、企業のブレーカーダウンで始めましょう。

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